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貧しい国、貧しい人々、
そして 豊かな国、豊かな人々。
束縛された国、束縛されている人々、
そして
自由な国、自由な人々。
そんな比較はやめましょう。
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濃いものが薄い処に流れて
自づと中和されるように。
薄いものが、濃い処に知らずしらず沁みこんで、中和されるように、
誰に誇ることなく、誰に媚びることなく。
自然の恵み、ありあまる天の恩恵
そのまゝに
人々も、自然になごみ入りたい。
私がいて、あなたがいて、
あなたがいて、私がいられる。 |
今、同じ時を生きている得がたさを、
同じものを得て、ともによろこびたい。
「このめしがなければ、このめしをほしいとだけ、おもいつめるだろう」
重吉の叫びが、今でも聞こえます。
時は流れているのに、
その時は洗われているのでしょうか、
時の流れは洗われて、
澄んでゆくのでしょうか。
重吉よ、
あなたは今、天国にいます。
あなたの目は地上になにを見ていますか
あなたの叫びを、
重吉よ。
それぞれが、それぞれの個をもって、
個の上に立つ、
この事実が、生きとし生きるすべてに
与えられている姿です。
そう創られ、そう創らされて、
みなともに生きています。
神よ、あなたは今でも無言ですか。
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里山が荒れています
枯木はそのまゝに
蔦がはびこり
里にあるべき竹林が山の頂まで
はい上っています
今は薪をとる人の姿はなく
山の幸も乏しく
人々の声は山にはこだましません
山と人と、生きとし生きるもの達が
ともにある姿
違いますか、それが自然の姿と、
本来あるべき姿なのだと。
この夏は、蝉の少なさに愕然としました
夜明けから始まる蝉時雨は
何処に行ってしまったのですか
不思議なことに、
騒と静をくり返す一面の水田からの
蛙の割れんばかりの合唱もありませんでした
今、刈り入れの時
田圃には村人の群れはなく
機械だけが動いています
そして鳴呼、
稲は刈りとられてゆくと云うのに
赤トンボの乱舞がみられません
人間は孤立してゆくのですか
それで生きられるのですか。
おきゝします
あなたは人間としての誇りを
何処に置きますか
宇宙にとび立つことですか
人々の上に立つことですか
小さな国、弱い国々の上に蹂りんすることですか
こゝに来て改めて、万物の霊長であることを
自覚することですか
文化と文明とを満喫することですか
自国のみを優先し、他国にキバをむけることですか
おきゝします 心耳に問うておきゝします。
若い時
「仰ぎみるこの松がなければ淋しい」と
おもい、おもい生活していました
老いた今、今でも同じ筈です
一草一木、生きている慥かさを
身にしみます
いとおしいとは思いません
逞しく、唯々、感心するのみです
山河黙して語らずと 誰が云ったのですか
叫びが聞こえます
不動だからこそ、その悲痛の叫びが
聞こえます
古来、天の恵みに包まれて
一番、素直に生きた証しとして
山河は私達の眼前にありました
今も同じ筈です
河はうねり、山は萌えます
太古から今へ、そして未来へ
なんのかわりがありましょうか。
地球に降りそゝぐすべてのものが
どれだけの恩沢のおかげか
受けるだけでも勿体ない程の筈です
それを恩を仇で返すのですか
人間はそこまで傲慢なのですか
今、秋雨のこまやかさの唯中にいます
この雨が、このこまやかさで降ること自体
驚異の恩澤なのです
これから身に沁みて深みゆく秋
静かな鼓動の響きにこそ、
秋よ。
父いますか母いますかや
彼岸花

道端の片隅に、芽を出したコスモス
小さいまゝに
無理かなと思っていたのに
小さな小さな花を咲かせました
精一杯の開花
秋の陽の優しさが、よく映えます
風に揺れています かぼそいながら
心地よく、大きく揺れています。
可憐な花の美しさに、国境はありますか
生々とした動物、あらゆる生き物の
生きざまに
国境はありますか
優れた芸術、音楽
どの国であろうと
人間は何万年、何十万年かゝって
こゝまで来た
その証しが、ボタン一つで可能な
大量破壊兵器
だとしたら
あまりにも悲しすぎませんか
先端技術を生み出す人の優れた脳が
人間を殺し、あらゆる生物を
追いつめる兵器をつくり
人間の枠を超えた遺伝子操作に奔走し
限られた少数の者にのみ
富を分配する
何万年生きようと、何十万年を生きた証しは
一輪の花の美しさの中に
すいこまれます
朝顔の終の一輪か
露光る
こんな話を聞きました
ある茶人さんの庭の朝顔が
とても美しく評判で
それを聞いた名ある人が訪れた
垣根には朝顔の姿が、全く見られません
訝しく思いながら
座敷にとおされると、床に一輪の朝顔
この人の為だけの、この時だけの一瞬の
この人に捧げる一輪
この一輪を生かす為に
庭のすべての朝顔が、摘みとられました
老人である私は、この話を聞いて
なんと、あさましいと思いました
人間は相方、最後は、こゝまでしないと
納得出来ないものなのでしょうか
この一輪が、もし人間だとしたら
平々凡々
平々坦々
軽やかな響きをもって
穏やかな響きをもって
ありあまる天の恵みを
全身に受けて、感謝の心に満ちて
平々凡々
平々坦々
なにを他と比較して
誇ることがありましょう
唯々、自己を生きること
秋の空
吸いこまれゆく一片の雲
清々しくたなびき
見れば、高い高い処を
二羽の鳥が、黒の点々となって
漂っている
地上にねそべる私は
小さな溜息を吐くが
なんと心地よく
天に向って、 無言のよろこびを
叫んでいることか
鳥よ、
あなたは天鳥(天寵)か。
夜明けの床で聞きました
けーんとするどく鳴いた鹿の一声
また静寂の中
うつつの中を鹿の姿が駆けめぐります
一体、なにに向っての
一声だったのか
夢
うつつの中の夢
深い眠りの中の夢
夢をみる楽しみは
普段、忘れていることも
なんでもないことの中で
おもいがけない人と、出来事とに、
出会うこと
現実の生活は乏しくとも
夢の中で豊かに生きています
誰れに礼を云ったら、いゝのでしょう
父よ、母よ、すべての亡き親しき人たち、
いくらでも大歓迎、
お近くにおいでの時は
必ず吾家にお寄り下さい
そしてゆっくりしていって下さい

今、秋
彼岸花も燃えています
でも、なんであれ程に赤く
人々よ、仲よく出来ないなら
唯、坦々とお互い構わずに、
生きましょう
侵害することなく
尊敬できないのなら
それはそれで淋しいことですが
是として
自己は生かしましょう
得がたい生を受けているのですから
天命を生かしましょう
自己を生かせば
師が云われました
「山と山とが讃美しあうように
星と星とが讃美しあうように」
いずれ、いつか必ず
分りあえ、お互い讃美出来る時が来ます
自己を正しく、
精一杯に 生かしましょう
力の鼓舞は
つまらないから、やめましょう
力の強いものが、弱いものを苛めて
なにが楽しいのでしょう
なにが正義なのでしょう
あり余る力は
誠実に、自己を生かすことに
果たし切りましょう
美の女神の微笑を、受けて下さい。
第4期 第6話 完
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