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老人は思います。少女も思います。少年もまた思いました。
『人を殺してはいけない』
『人に殺さすようなことをしてはいけない』
自分がです。一人々々がです。ひとのことではなく、自分の問題として自分が『人を殺してはいけない』自分が『人に殺さすようなことをしてはいけない』
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800×580(37Kb)  小さな溝やマンホールに落ちた子猫や子供を、沢山の人達が何時間もかけて、懸命な努力と、その生命を救う為には人工的なものは破壊しても救い出す。そして、『一人の生命は地球よりも重い』とみなで喜び合う。あれは夢なのか、夢の中の出来事だったのか。
いや、平和の時の出来事です。平和の時だけの出来事です。
いや、違う筈です。平和の時は勿論、異常の時であろうと、人の生命は尊く、いかなる人の生命も尊く、人は生命の尊さの前に唯々畏敬あるのみです。今はそういう時代に来たのとは違いますか。人間の長い歴史が、人の生命の尊厳を守るまでに来たのとは違いますか。
いや、人間はまだまだ野蛮で、人の生命の抹殺や殺戮は平気でやるものだ、本能だというのですか。
それでは一体、何時、あと何年あと何十年、何百年たゝないと、この地球上から戦争はなくならないと云うのですか。人間はそんなにも人を殺すことが出来るのですか。歴史そのものが、人を殺す歴史なのですか。
そらなら何故『ひとの生命は地球より重い』と云うのですか。
この生命体としての地球が、どれ程の恩恵をもって生命をはぐくんだか。人間もその恩恵の只中で育ち、生きてゆけるのです。その地球より人の生命は重いと云うのでしたら、もっともっと心底、謙虚な心になって自他共に一つの生命の尊厳の為に、力を盡くす以外に人間の歴史の歩みはない筈です。
人間の歴史のゆくつく処が、破壊と戦争の殺戮で、民族の違い宗教の違い、思想の違い貧富のへだたり、国と国との戦いで終わっていゝのですか。
まだまだ人間には駄目な話なのですか。即非戦、即非殺。
老人は思います。みんなが思います。何故どうして即非戦が出来ないのですか。即非殺が出来ないのですか。そんなにも難しい、人間には難しすぎることなのですか。
人間の尊厳、生命の尊厳という尊厳を一体何処に、その価値を置いたらいゝのですか。
尊厳という言葉は人間のものなのですか。人間とはかけ離れた処での言葉なのですか。
2001
第2期 第9話 完
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